世界のいろんな場所で、その時々、いろんな風が吹いている。
沖縄では、この梅雨の季節、短いタイミングだが「カーチベ」という風が吹く。
まだ、その風に、会ったことはない・・・。
その風に乗るため、旅に出た。
八重山諸島、小浜島。
空港に着くともう既に、その気配。
頬をさわやかに撫で、鼻の中を、甘い香りが抜ける。
日差しは暑いけれど、海を渡ってきた風は気持ちがいい温度だ。
見上げれば空は青く。
島へは港から船でゆく。浅いリーフに囲まれた海を、深いところよりながら、蛇行して
それでも最短距離を驚くスピードではしる。
深いとろころは濃く蒼く、浅いところは白く、グリーンだ。
日差しが海底まで届いているのがわかる。
海の青は、空の色・・・。
小さな島だ。車で20分も走れば、突き抜けてしまうくらい。
そこに真っ白な、美しい・・・という言葉はでは表現できないビーチがある。
青い海の向こうには、また別の島が見える。
そちらのほうから、カーチベーが海を渡ってくる。
カイトボードをしに来たのだけれど、それすら、もうどっちでもよいような気持ちになる。
風と波の音だけの世界に、これ以上他の何も必要を感じない。
ずっと海を見て、時を過ごすことができる。
「これを見ずに、死ねるか・・・・」 心をよぎった。
それでも毎日、海に出た。
この風は、優しい。
やはり海の上でも、少し甘い香りがするような気がした。
この風に、会えたことに感謝した。
この島が、日本であることに、誇りを感じた。
風を探す旅は素敵だ。
時には、会えないこともある。
それだからこそ、こんないい風に会えたときは、ずっと海に関わっていてよかったと思う。
この旅に、きっと終わりはない。
同じ風は、二度とないのだから・・・・。