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海と山と空でツナガル

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雨が全国的に降っている。
こんな日は、「古傷」の脚の骨折箇所が痛む。30年ほど前、立て続けに一年のうちに二度も骨折した、右足の膝が疼くように痛む。でも今日はその痛みが、懐かしさに変っている。
空を飛びたいと思い立ち、パラグライダーを練習し始めた。空を飛びたいという思いは、若き時代からずっとあった。ヨーロッパアルプスを攀じていた30年前、グリンデルワルドの谷間を飛ぶそれを、見た。攀じた後は、ああやって飛んで降りたいものだと、ぼんやり思った。その頃の思いを、こんなに時間が経ったけれど、実現しようと動き出している。そして今日・・・。

このあたりの山で、「山飛び」をするにはどこがいいか、探っていた矢先に見つけた名前。パラグライダースクールの校長のその名前は、見ただけでピン!ときた。30年前、山の世界で憧れ、そして大変お世話になった先輩の名前。もうすでにガイドとして活躍していた彼は、ぼくの憧れで目標だった。その後、ぼくは冬の壁で大きな事故を起こし、そして彼を含めた多くの先輩に命を助けられた。そのレスキューは、助ける側の命を厳しく脅かすものだった。ぼくはその後、彼らには何も返せないまま、ただ、その後のレスキューの現場には一番にかけつけることを信条とした。そして、時間がたち、自分のクライミングの限界に自分が負けて、山から離れた・・・。

古き恩人の名前を、「空」の世界で見つけたとき、何かの「縁」を感ぜずにはいられなかった。ぐるっと、30年間の人生のスパイラルの果てに、その名前を見つけたような気がした。少しゾクッとした。ぼくはきっと、空の世界にもはまってゆくのだと、確信した。

山から海に、フィールドを移した後も、確かに山の仲間に海で出会う・・なんてことも何度かあった。また、海の仲間はあっちこっちでツナガッていて、ぼくのセーリングスクールで学んでくれた70を過ぎた人生の先輩が、久米島にヨットで寄り、パラグライダーの師匠でありカイトの友人のご夫婦に偶然世話になったという話や、西日本をヨットで旅していた時、大分の姫島の小さな漁港でテトラに押しつけられて困っている一人乗りのヨットを発見し、脱出するのを手伝ったのちよく見ると、尾道で船舶免許をとったとき、一緒に10日間合宿したそのときの「同士」だったことなど。

海や山や、そして空までもが、そこに身を置く人たちを巻き込んで大きな「渦」を作り、そして廻っている。ぼくもその渦のなかで、うごめいているから、何度も懐かしいひとと再会したり、不思議な出会いが続いているのだと・・・・。

膝が痛む。それを撫でながら、古い時間を思い出している。山から海へ、そしうて空へツナガル人の連鎖。それをとても不思議な気持ちで、感謝しながら、これからの展開に心躍らせている。

# by hwindlife | 2012-04-22 22:20 | 好きなこと大切なこと  

夕食作れる幸せ

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基本的にぼくの家庭では、夕食はぼくが作る。
ママの仕事が夜、遅くなるので、数年前からそんな役割分担になった。
昔、山に長く入る時にはもちろん自分で食事は作っていたし、料理は嫌いじゃない。
嫌いじゃないけど、作る喜びを感じたことは、なかった。。。

夕方、海でのレッスンが終わって急いで後片付けをして家に向かう。
帰る途中に、保育園から5歳の娘をピックアップ。
娘と二人で近くのスーパーへ買い物にゆく。
毎日のメニューは、スーパーを一周してから決めるのが習慣になった。
毎日作ると、メニューの組み立てが難しい。
もちろん、難しい料理なんて無理だから、出来る範囲で考える。
基本的には自分が食べたいものを中心に考える。
でも、娘にも聞く。
「何食べたい?」
毎日、「サカナ!」という。子どもには珍しく、娘は魚好き。
聞くには聞くけど、毎日サカナ、ってわけにはいかなので、悩む。
昨日、中華っぽかったから、今日は和食系だな。
お野菜はいっぱい摂らせたい。大きくなって欲しいから、肉系も重要。
でもぼくの、メタボが怖いから、脂身少ないチキンかな。。。
なんて考えて、娘と冗談を言いながらめぐるスーパーの時間が好きだ。
ぼくは前を歩く。
彼女は、ちっこいながら、カゴをカートに乗せて押してついてくる。
ポンポンとそこにぼくが、食材をほおりこむ。
あるとき、彼女が嫌いなナスを食べさせようと、しっかりたくさん
それをカゴに入れたが、レジでお会計したときに、それはなかった。。。
彼女が、ぼくが入れたはなから、後ろでそれを戻したのだ(^^ゞ。

今日のメニューは、お野菜たっぷりのポトフと、脂身少ない牛肉のハーブ焼き。
それとサラダ。
食卓の準備は子どもたちの役目。
三人で、「手をあわせてーーーー!」と叫んでから食べる。
美味しくても、美味しくなくても、「おいしーー!!パパの料理!」
と毎日言ってくれるのが日課。
がんばるよ、美味しものつくれるようにね、と毎日思い
こうして子どもたちと密になってゆくのは幸せだ・・・と毎日思う。
「これはママに残しとくーー!」などと、残念ながら一緒に食事をとれない
ママを気遣う子ども心を、嬉しく思う。

父親は難しい。
なかなか、「父親」になれない。
母親には、一生、かなわない。
でも、こうして、食事を作る機会があって、子どもと密になるタイミングがあること
幸せだと思う。

これから、これはぼくの仕事にも役立つ。
ゲストクルージングで、港へゆき、そこで仕入れた食材でゲストに船での食事を振る舞う。
コックの腕さえよければ、ヨットは最高のシチュエーションのレストランになる。
クルージング&グルメ、そんなサービスもいつか提供したいものだ。

でもその前に、今の課題は、作りながらかたずけること。
ぼくの料理の跡は、まるで小さな爆弾の落ちた様子だから・・・・・。

# by hwindlife | 2012-02-27 19:53 | 好きなこと大切なこと  

「エッジ」で生きる

カイトの事故で、近くのゲレンデで人が亡くなった。
亡くなった方は存じてないが、その場所はよく知っているところなので
他人事のように感じられない。
事故が起こった沖合の海は、ウインドサーフィンに強い希望を感じていたころ
季節曜日に関係なく、風が吹けば走り回った「海」だ。
その頃はそこに空港などなく、海ももっと広くて、風もナチュラルに流れたように思う。
人工物で囲まれた今のその「ビーチ」は、風も行き場を失いかけ
時には強く、あらぬ方向に吹いたのかもしれない。
事故の直接的理由はまだわからない。
でも変わってしまったとはいえ、あの海で
人が命を落としたのは、なんとも切ない・・・。

カイトボードは、それをする全ての行為が「エクストリーム」だとはいえない。
確かにイメージとして、高く飛び、3次元の複雑なトリックは、常識を超えている部分もある。
しかしながら、スキーやスノボーなどのアウトドアスポーツとなんら変わるところはなく
気軽に安全に楽しむ「カイト」から、本物の「エクストリーム」まで存在する。
今回の事故で、どこかの炎上しているサイトのように、一言で「無謀」と決めつけられるには
かなりの抵抗もあるが、反論しても不毛だ。

20代のころ、クライミングの世界に没頭した。
この世界は、いくところまでいくと、かなりの確率で命をかけた状況に
追い込まれるものだと、なぜか自然に思っていた。
確かに、多くの友人を、日本の冬山で、ヒマラヤで、マッキンレーで失った。
生き残っても、その多くの指を失った友人も多い。
強いクライミングへの情熱を持ってそれに臨めば、難しさ、高さ、そして危険度へと
そのグレードをあげてゆくのが、この世界の自然のなりゆきなのだ。
最終的には、無酸素でソロで、8000M級の「壁」を、バックアップなしで攀じる・・・。
そこまでたどり着けるのほんの少しで、稀な才能と運の持ち主だ。
そしてその、高みのたどりついたステージでは、生存の確率は、フィフティー・フィフティーだとしても、本人には充分なチャンスと感じられる。
「常識」は、あの世界と、一般的な世界では、大きく異なる。

自分は、その高みを目指す途中のステージで、自分の非力さを胸に、一生刻印されることになった。
パートナーの友人を失い、しばらく間、自分も生きる力を失った。
同情もあったが、マスコミも、身近ではないまわりも、「無謀」「未熟」
「自己満足による迷惑」などと、強いバッシングに溢れた。
幸か不幸か、心を失っていた自分は、そんな言葉に揺れることもなく
所詮、わかってもらえることではないと、思っていた。
入院していた病院の窓から、消えてゆく残雪をみながらも、死んだ方がましだったと
何度も思った。
そして何年かして、ぼくは逃げるように山の世界を離れ
海へ逃げてきた。

好きなことをして、命を絶ってしまうことに対して、ぼくは理屈で答えられない。
ただ、ただ、切ない。
世の中には、好きなことをして生きないと、生きられない「人種」がいるのだと
信じるようにしてきた。
だから、「むこう側」の理屈では、異常で理解不能な行動も、結果も
「こちら側」では、普通・・というか、なんとなく、わかるのだ。

逆に、だんだんと年齢を重ねるに従って、クリティカルな「エッジ」に
なかなか立てない自分に苛立ちと、失望を感じることも多くなった。
丸くなったなどと人に笑っていいながら、情けなさに震える。

命は大切にしようと思う。
でもそれは、「生きてる証」を持った命であり、充実した時をともなった命でなくてはならない。
これからの人生、あと何回、「エッジ」に立って魂が震える声を聞くことができるだろうか。

# by hwindlife | 2011-12-27 13:20 | 好きなこと大切なこと  

波切漁港 田中料理店

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先週金曜日から、クライアントのセーリングクルーザーでのレッスンで三重県、志摩方面へクルージングレッスンにでかけた。二日目は大雨に加えて、風が25m以上吹き、前日に停泊した波切漁港の沖は、壮絶な状況になっていた。波はゆうに5mを超え、大きなうねりはマストの高さ近くに感じた。そんな中、5マイル北の的矢に移動した。漁船も一艘もでない状況。こんなシチュエーションで海に出るのは無謀とと言われてもしかだがない。しかしながら、いくつかの理由で、波切を後にした。
レッスンとは言え、命をかけることはない。クライアントは船内に入ってもらい、一人で操船する。最小のセイルセット。左後ろからのブロードリーチ。波はサイドから。強いブローに船は風上に切りあがろうとし、ぼくはそれを舵で必死に抑え込む。切りあがると、波に打たれる可能性があるので、斜め下に降りてゆくしかない。波のトップから、10m近くのボトムに向かって、少し舵がストールしながら落ちてゆく。ボトムに着くと、ヨットのバウは水面下2mくらい潜り、その波はデッキを覆って舵を持つ僕を、船から押し出そうと当たってくる。もちろん全身、頭からつま先まで海に飛び込んだのと同じ状態・・・。
二時間後、穏やかな湾に逃げ込んだ・・・。

波切漁港の近くには、美味しい料理店がある。
「田中料理店」
そこの停泊すると、いつもそこで食事をする。
ここの名物は、「鰹茶漬け」。はじめはそのまま漬け丼で食べて、その後茶漬けにする。
また、ここは、大皿料理がカウンターいっぱいに置いてある。
「カサゴの煮つけ」「牡蠣」「タコ煮」「ウツボの唐揚げ」「豚の角煮」「なすのマリネ」
沢山、頂いた。
おかみさんの笑顔も素敵だった。

海は厳しい。
でも、訪れる港は、癒される場所が多い。
食べ物がおいしい場所も多いのだ。
だからまた、海に出てゆける。

# by hwindlife | 2011-11-22 10:40 | 自然について  

知多の海

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この海は、ずっと慣れ親しんだ場所。
今日は独りだから、なおさら、昔のことが思い出される。
20年くらい、この海でウインドをしていた。
夏も、冬も・・・。
昔は冬にはよく雪が降って、ビーチに積もった雪の上を
ピョンピョンと素足ではねながら海に入ったっけ・・・。

西に向いたビーチだから、ひと際夕焼けが美しい。
夕焼けの色が映った、海を滑るのが好きだったな。

# by hwindlife | 2011-11-21 15:29 | カイトボーディング