<   2009年 11月 ( 2 )   > この月の画像一覧

 

Ride for tomorrow


f0158239_0482478.jpg

今日、風があがるのはわかっていた。
それでもウィンドサーフィンのスクールが入っていた。
ぼくは早朝に家を出て、いつものビーチに予定よりも一時間早く着き
ボードとセイルのセッティングを素早く済ませた。
風は昼近くになればばるほど、強くなる・・・・・・わかっていたからこそ、早くスクールを
スタートさせたかった。
今日のスクール生は三人組の二十代の男性。
三回目だから、もうタックもジャイブも中風ならできる。
でも今日の風は手ごわい・・・・・・・。

ぼくの思惑に反して、彼らは少し遅れてビーチに登場した。
少し危機感を持って、今日のコンディションがオフショアで強風、とてもリスキーなことを
繰り返して説明する。
なんとなく、それでも、ピンと来ていない感じが見て取れる。
オフショアだから波は立っていない。
ビーチ近くは風がガスティーで、フラット、だから穏やかにすら見える。
本当はほんの数十メートル沖へ出れば強いブローが、海面を叩きつけるように吹いてるのだが
そこにいて、それを体で受け止めないと、実感はわかないのかもしれない。
ぼくは慎重に、かれらの進む方向を監視し、少し後ろから並走してアドバイスをする。
ブローがはいる!ボードごと、沖合へ吹っ飛ばされる!
もう、セイルはあがらない。
沖へ沖へ・・・・。
ボードが、そしてその上に座っている自分が強い風を受け、沖へ流される。
どんどんと岸から離れていってしまう現実を目の当たりにし、ようやくリスキーな場所にいることを
彼は実感するのだ。
ぼくはリミットのラインを決め、そこの中で沖へ流された生徒とボードを自分のボードにリーシュで
つなぎ、ビーチへ引っ張ってくる。
10m走り、飛ばされ、沖へ200m流され、ぼくが引っ張ってくる・・・・・・。
それを三時間近く繰り返したころ、もう彼らに筋力も、気力も残ってはいなかった。

今日のスクールに、どんな技術的進歩があったのかと聞かれれば、答えようがない。
ただ、ぼくがではなく、荒れた海が、彼らに何かを伝えたはずだと思う。
いや、そう願いたい。
静かなコンディションだけでおこなうスクールは、ただ楽しく、ウィンドがうまくなった気がする。
でも、「海」のことはそれでは少しも学べない。
凪の日も、いい風の日も、そして強風の荒れた日も、安全を確保したうえで体感してもらうことは
ウィンドサーフィンスクールとしてではなく「ウミトモ スクール」としては大切なのだと
ぼくは信じている。
ただ、彼らに、何か残ってくれればと、願う。

昼過ぎ、ぼくはウェットスーツを着たまま車に乗り、豊川へ向かった。
自分の「カイト」をするためだ。
風は強い。ブローで15mくらいある。
小さなカイトをすばやくセットし、海に出た。
なんだか、「ノリ」が悪い。
疲れてるのかな。午前のスクールがなにか心にひっかかってるのかな・・・・・・。
バックロール、フロントロールを何度か繰り返したあと、ほんの一時間あまりで
ぼくはビーチにあがった。
今日は、もう、いいや。
Ride for tomorrowってことにして、もうあがろう。

その後もしばらく風は吹き続け、数人の仲間は元気よく真っ白な海を走っていた。
車をだしても、しばらく、ぼくはオーディオの音も消して、自分を取り戻そうとしていた・・・・・・。

by hwindlife | 2009-11-22 00:48 | カイトボーディング  

「海」について

f0158239_22543337.gif

今シーズン、多分、今までの人生で一番「海」に出た年です。
自分のための「海」だけでなく、それをスクールという形でも接した「海」・・・。
おかげで肌を露出したところは真っ黒で、「黒い」人が多いマリーナでも
「黒いねー!」と驚かれるほどです。
体にとって、皮膚にとって、この年齢ですからいいことは何もないのですが。
でも体はすこぶる元気です。
多くの海すきの人たちのエネルギーももらったし、何より、地元の海からいいパワーを
もらった気がします。

「海」には、とても多くの表情があることを、ぼくは今年再認識しました。
色、音、匂い、佇まい・・・・。
風や波は、海の表情を創り、それがまるで生きているかのような「意志」すら
感じるのです。

ぼくは海に着くとまずすることがあります。
風の向きを確認し、そして匂いを嗅ぎます。
海の色を見て、そして雲の流れを確認します。
そしてビーチから大きく海を俯瞰して、今日の海の「性質」を見極めるのです。
その時間が、ぼくはとても好きです。

スクール中も、もちろん海の状況に気を配っていますが、生徒さんのコンディションが
まずは第一です。

夕方、スクール生を送り出してから、ぼくはゆっくりと後片付けします。
夕方の海は、また朝とは全然違った表情をしています。
たいていの場合、日中強かった風も夕方にはいったん静かになります。
このビーチは、ビーチの端っこに太陽が沈んでゆくので、波打ち際がその残り陽に照らされて
とても綺麗です。
ぼくは片付けの手を休めて、この静かな時間を、独りっきりで味わうのが好きです。

多くの「海」の記憶があります。
そこに吹く「風」の記憶も、とてもクリアーです。
この「海」は、ずっとみんな、繋がってるんだと思うと不思議でもあるし、なるほどなとも
思います。
いろんな「海」にこれからも出会いたい。
また、ぼくの知っているいろんな海を、また誰かに伝えたい。
暮れてゆく海辺に立って、そんなことを考えている瞬間は、とても幸せです。

by hwindlife | 2009-11-10 22:48 | 自然について