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辿りついた先

「サバイバル登山家」
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ここ2週間くらいかけてゆっくりと読み進めた本があります。
「サバイバル登山家」 服部文祥著
彼のユニークな山行記、ノンフィクションです。
「自然に対してフェアーに・・・」
貫かれる彼の登山思想。
そのストイックな「山」に対する姿勢に、あらためて感嘆しました。

「生きている」ことを実感するために、山に入るといいます。
山の中で、一生命体として生々しく生存するために、食料も燃料も
もちろんテントなど持たずに、山奥深く分け入ります。

冬季に黒部の奥に入りこんでいくことは、どんなリスクなのか
ぼくにも少しわかります。
でも食料を持たずに、山で調達しながらゆく山行の不安とリスクは
ぼくには想像できません。
ぼくの「山」に対する感覚が、ごく平凡であったことを思い知らされました・・・・・。

彼が北海道、日高山脈を一ヶ月近くをかけて独りで山行した記録は圧巻でした。
そして、その最後、襟裳岬に着いたときの彼のその旅への「感慨」をあらわした文章に
ぼくは胸が熱くなりました。
そのときの彼の気持ちが、ぼくにも手に取るようにわかるのがとても嬉しかった。
そうだな・・・・そうなんだよね・・・。

ぼくは山行の終わり、よく二つの想いを抱きました。
ひとつは、それが楽しく、自分の中に強い力となって蓄積されたという「達成感」。
そしてそれとは逆に、目標を達成したことによる「喪失感」。
達成感と喪失感の狭間で、ぼくは戸惑い、次の目標を早く見つけることで
それを埋めようとしていた気がします。
でも喪失感をひときわ強く感じたときは、そのプロセスを楽しめてなかった気がしてなりません。

辿りついた先、登りつめた先に何かを期待していくとき、それはきっと失望につながるのだと
感じています。
それはきっと人生も同じ。
その「最中」が幸せなのですから・・・・。

by hwindlife | 2007-11-10 01:41 | 自然について  

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