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花冷え


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先日までは、このまま春を通り過ぎ、初夏が来てしまうのではと思うほどの
陽気の日が続きました。
その陽気に誘われて、近くの桜並木は満開です。
でも、ここ数日、寒さが戻ってきました。
これを「花冷え」というのですね。
桜の花は、冷たい風に震えるように揺れていました。

気温が10度を切って、深夜には0度近くになれば、真冬と同じです。
でも、今年、ぼくはこの寒波もあまり寒く感じません。
確かに、体の体温調節機能などは衰えはじめ、暑いときに寒かったり
寒い時に暑かったりするのですが、それとは少し違う感覚で、寒くない・・・と感じます。
ぼくの中では、もうすっかり春真っ盛りで、例え気温が低くても寒い、という気持ちにならない。
確かに、風はやわらかく、確かに、風は春の匂いがするから、強風の中でも
心がゆったりと落ち着いています。
そしてその「風」は、もう軽いのです・・・・・。

冬の風は重たい。
密度が濃いというか、圧力が高いというか、ウィンドやカイトをしていると、確かにその風に
重さを感じます。
春になるにつれ、それは例え同じ風速でも「軽く」感じてきます。
そして夏になってしまえば、その手ごたえが心もとない程に、軽くなります。

ぼくは冬の重たい風が好きです。
風の息吹きを、しっかりと感じられるし、それでその存在感を強く感じられるからです。
風の「意志」をしっかりと感じられるから、そこに存在する自分との間に「会話」が成立する。
ぼくは風に向かって、よく独り言を言います。

「ちょっと強いねー、厳しいねー」
「あらあら、落ちちゃうの?もっと来いよ!」
「ちょっと振れたね、こっちで安定しちゃうの?」
「ちょっと勘弁して!つよすぎー!」
なんて、ブツブツ・・・・。

「風」
なんだか不思議な存在です。
どこから来て、どこへゆくのか・・・・。
その「姿」は見えないけれど、その存在は確かです。
だからなのか、「風」は多くの諺にも引用されるし、やはりぼくはそこに「意志」のようなものを
感じるのです。

風が吹く街は、素敵なところが多いと感じます。
オーストラリアのパース。
ここに吹く風は「フリーマントル・ドクター」と呼ばれて、日中の猛暑を冷やす
まさに「ドクター」なのです。
街はこの「ドクター」のおかげで、美しく住み安い町と言われています。

「風」が生まれる場所と言われているのが、南米のパタゴニア。
永延と続く荒涼としたした大地のはるか向こうに、
パタゴニアの白い山脈がすくっと立ち上がったように存在します。
その山あいで生まれた風は、その大地を駆け抜けてゆきます。
その強い風は、ずっとこの大地をかけ抜け、太平洋すら通り過ぎてゆくようにも感じます。
「風」の生まれる場所、パタゴニアにはぼくの一番好きな山のひとつ、フィッツロイがあります。
いつか、あの頂きに登りたいと、若い時代、強く切望していました。
もう、叶わない、切ない思い出です。

トレードウィンドは、地球規模で、その自転や海流や温度によって、世界を旅します。
季節を選んで、この風を追いかけて、世界を旅すれば、風には困りません。
この風は軽快で明るい雰囲気を持っています。
夏のハワイに吹く風も、このトレードウィンドです。
波を追いかけて、一年中世界を放浪するサーファーの物語、「エンドレス・サマー」のように
風をおいかけて、いやその風に乗って世界中を旅するのは、ぼくの究極の夢です。

ぼくの街を吹く風は、少し鼻の奥をくすぐるような、甘美な香りがします。
「花冷え」で少し寒いけれど、風は残っているから嬉しい気分です。

明日は、その風に、乗れるでしょうか・・・・・・。

by hwindlife | 2009-03-28 01:13 | 好きなこと大切なこと  

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